地震に強い家・弱い家

補 足

 

地盤に関連すること

 

 

軟弱な地盤

軟弱な地盤や液状化しやすい地盤に建つ建物は

地震の時、地盤は大きく揺れ、その上に建つ建物も大きく揺れます。この様な地盤の上に建つ木造建物の場合、普通の地盤の建物よりも壁量を増やし、耐力壁を多くしましょう。

2000(平成12) 地盤調査が実質、義務化される

 

建物の形と重さに関連すること

 

 

建物の形について

建物の平面形はなるべく単純で、たとえば長方形のようなものがよい。

平面がL型やコ型などの建物や、凹凸が多い複雑な平面形の建物では、突出部分と建物本体部分の剛性が異なります。

そのため、それぞれの部分が地震時にばらばらに揺れ動いて両者の境界部分(入隅部)から壊れやすくなります。

鉄骨造や、鉄筋コンクリート造の場合、異なる形の建物同士が地震の時、干渉しあわないようにエキスパンションジョイントを設ける。

 

1階に12畳以上の大きな部屋や続き間をとると、柱や耐力壁の量が2階に比べて相対的に少なくなり、耐震性が低くなります。吹き抜けなども、耐力壁が少なくなるため、耐震性が低下します。

客寄せの時のための、続き間の間仕切りは、ふすまや障子が多い

屋根材を軽いものにして、建物重量を軽くすることで、建物への地震力を減らすことができます。

重いピアノや書棚などを2階におくと、1階にかかる地震時の水平力が大きくなります。

2階の床にのせる積載荷重が軽くなるような部屋の使い方・間取りにします。

瓦葺き

60kg/2

コロニアル葺き 25kg/2

 

柱に関連すること

 

 

柱の位置は

建物の外周および内部の要所でしかも各柱にかかる荷重がなるべく均等になるように配置します。

2階以上の建物の隅柱またはこれに準じる柱は、原則として通し柱とするか、接合部を金物等で補強して通し柱と同等以上の耐力になるようにします。

 

 

木造在来住宅2階建てに使用されていた金具

金物で補強する

柱に生じる引抜力に抵抗させるために、柱脚と土台とを金物で緊結することが重要です。また、筋かいの端部に金物を用いて補強することによって引張り筋かい として効果を発揮させることができます。

さらに、建物に作用する地震力によって上部軸組が基礎からずり落ちるのを防止すると共に、耐力壁によって生じる引抜力を基礎に伝達するために、アンカーボルトを用いて土台と布基礎を緊結します。

接合部の推移

1950 柱はかすがいで止める

1979 平金物で止める事を推奨

1988 通し柱にホールダウン金物を使う様になる

2000 必要な場所に、必要な耐力のホールダウン金物を使う様規定

耐力壁に関連すること

 

 

耐力壁(筋かい等)を入れる

木造住宅では、建物に作用する水平方向からの力に抵抗させるために、筋かいや面材を用いた耐力壁を設けます。

特に、1981年(昭和56年)以前の耐震基準に基づいて建てられた木造住宅は筋かいの不足などが指摘されており注意が必要です。

1981年(昭和56年)以降の新耐震設計基準による建物は、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)においても被害は少なかったとされています)

壁量の推移

1950 壁量の規定が決まる()

1F 12 2F 8

1959 必要壁量の改正()

1F 21 2F 12

1981 必要壁量の改正()

1F 29 2F 15

 

 

耐力壁の量を多くする

耐力壁として、筋かいや面材を用いた耐力壁を設け、建築基準法施行第46条に規定されている、必要な量を絶対的に満たします

※一般的には建築基準法の必要量より20%以上割増することがベストといわれています。

※必要量が満たされていない建物は基準法違反です。

 

建物のずれ(偏心)を生じにくくする

偏心率を小さくする

地震力は階の重心に作用すると考えて良いでしょう。このため、建築物は水平方向に変形するほか剛心周りに回転します。重心と剛心との距離の大きい(偏心の大きい)建築物にあっては、部分的に過大な変形を強いられる部材が生じます。それらの部材の損傷により、その階の耐力が低下し、地震エネルギーの集中をまねくこととなります。偏心率とは、重心と剛心のへだたりのねじり抵抗に対する割合として定義され、その数値の大きい程、偏心の度合が大きくなります。言い換えると、偏心率の小さいほど耐力壁等の水平抵抗要素の平面的な偏りが少なく、地震に強いと言えます。

2000年(平成12年)の建築基準法改正において、木造住宅においては『偏心率は0.3以下であること』と規定されました。

2階が1階の上にのっている建物では、その重心(建物全体の重さの中心)と剛心(耐力壁の剛性の中心)との間にずれ(偏心)を生じやすくなります。このような建物が地震力を受けると、建物にねじれが生じ、建物が壊れるおそれがあります。このため、建物のずれ(偏心)を小さくしておきましょう。

 

耐力壁は、はり間方向、及びけた行方向に作用する地震力に対してそれぞれ安全であるように配置します。

日本建築防災協会、日本建築士会連合会編「わが家の耐震診断と補強方法」では、下図のように区分しており、上ほど耐震性が高いことを示しています。

地震力ははり間方向と、けた行方向に作用する水平力として、仮定します

 

a)隅角のすべてがL形壁

建物の角隅すべてに、はり間、けた行の両方向に壁が直角(L形)にある場合です。

 

 

耐震性が高い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


耐震性が低い

 

 

 

b)隅角の一部が一方壁

建物の隅角のうち一部かまたは全部が、はり間、けた行方向どちらか一方にしか壁がない場合です。

 

c)一隅が両方とも開口

建物の隅角のうち1つでも、はり間、けた行両方向ともに壁がないものがある場合です。

 

d)一面が全開口

建物の四辺のうち一面だけに全く壁がない場合です。

e)二面が全面開口

建物の四辺のうち二面に全く壁のない場合です。

方角による耐力壁をバランスよく配置しましょう。

たとえば、南面におおきな開口を設ける場合、南面は北面に比べて耐力壁が少なくなり、耐力壁の配置が北側に偏ってしまいます。この場合もずれが生じ、地震力をうけた場合壊れやすくなります。

北側に収納部や階段、南側に居室がレイアウトされるので、おこりやすい

 

柱に関連すること

 

 

柱の位置は

建物の腐朽には、水分が大きく関係するため、建物の北側や外壁部分の湿気や雨漏り対策、台所や浴室といった水まわりの湿気対策として、耐朽性の高い材料や防腐措置、換気などを考慮します。

以前の住宅は台所や浴室は、風通しの良くない北側に置く事が多い

 

しろあり

木材は蟻害を受けやすいため、蟻の種類に対応した木材や土壌の防蟻処理、構造上の進入阻止を講じます。